Blog黒田院長のブログ
2023.08.30
- 050 鎮魂
今日聴いていた音楽
ONE OK ROCK ‘Be The Light’他無辜の広島の人々に30万人とも言われる膨大な犠牲者を出した原爆記念日がまた今年も過ぎた。原爆を落としたアメリカが悪いだ、最初に真珠湾を奇襲した日本がそもそも悪いだと散々繰り返された議論も有った。破滅に向かうレミングの群れに似て、威勢だけ良い軍人も夜郎自大な政治家も利益にだけ貪欲な商人も破壊工作に血道をあげるスパイやテロリストも、お互い自分には責任が無いと相手を非難し自己弁護合戦で時間を浪費した挙句、広島でも長崎でも東京でも、言い募ればキリが無い程あらゆる日本の主要都市で繰り広げられた目を覆わんばかりの民間人大量虐殺の罪。それを誰に責任転化したところで、今更問うても亡くなった人々は帰らない以上詮の無いことだ。
今、アメリカで流行っている映画「バービー」と原爆開発の責任者オッペンハイマーの伝記映画?「オッペンハイマー」を合体させたBarbenheimerというムーブなど、私にはアメリカの一方的な正義を掲げて我が国を侮辱する行為だと感じる。勿論アメリカにもキチンとした教養、倫理観を持った人達が大多数居られると分かっているし、ただ下らぬミームを作って面白ければ良い、ネットでBuzzれば良いと脊髄反射する無教養な馬鹿者が何処の国にも絶えないのは理解している積もりだが、透けて見えるのは彼らなりの正義、日本人に対する蔑視。ああ確かにそれは仕方ない、歴史を遡れば誰もが痛感する残酷な真理、「正義」とは所詮戦いの勝者によって規定されるものだから。Black lives matterが米国社会の主流になってもYellow lives matterなんて誰も言わないものね。
せめてあんなネット上の愚行に対抗し、現代を生きる無力な市井人の我々に出来る事は、二度とあんな惨状を起こしてはいけないという戦争抑止へ草の根の意思を持つ事と、時代の行き違いで会えてはいなくても、触れ合えていたらきっとほっこりと懐かしかったに違いない名も無き戦争犠牲者への追憶という、我々と同じく生きて死んでいった存在への「悼む心」を持ち続ける事かと思う。
であればこそ、広島や長崎の平和記念日という歴史的な日に式典を邪魔するほど大きな音でシュプレヒコールし政治的アピールの看板を掲げた人々に私は改めて問いたいと思う。亡くなった人々を懐かしんで陽気に弔うのとは明らかに異なるデモや罵声、、。あなたたちは自分の大事な人が亡くなった命日にドンチャン騒ぎしてでも自らの政治的主張を通そうとするのだろうか。そういう文化がもし有るのなら否定はしないが、少なくとも私自身は、大切な人の命日には静かに故人の思い出に浸り、密やかに手を合わせたいと思う。別にその方々の言論の自由や表現の自由を侵す積もりも無いけれど、せめて一年に一度、この日だけは自分にとって大切な死者を静かに弔えないものか。デモ隊の方々がどんな理想をかなえたいのかは私には思い知れないが、このささやかだが強靭な一線すらどうしても政治目的として譲れないと言われるなら、残念ながら自分の道徳感、倫理観とは相容れないと私は思わざるを得ないのだ。