Blog黒田院長のブログ

2023.02.15

042 好きな映画 その2

今日聴いていた音楽
八城一夫
サイド・バイ・サイド 他

皆様お待ちかね、、かどうか定かでは有りませんが極私的傑作映画を語る第二弾のまずは一発目。
バタフライ・エフェクトThe Butterfly Effect(日本公開2005年)

昔からタイムリープものと言えるジャンルには面白い作品が多く、傑作として今も記憶に新しいのは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズでしょうか。そう言えばパート2でマーティがタイムスリップするのは2015年でした。何てこった、とうの昔に過ぎてるじゃないか! 有名なこの3部作は敢えて外し、この類いの映画が苦手じゃ無くてもし観ていない方がいらしたら強くお勧めしたい映画がこの「バタフライ・エフェクト」です。世界の片隅で蝶が羽ばたく様な変化が起きれば、それが回り回って別の世界に多大な影響を及ぼす。主人公エヴァンは幼い頃に心無いいたずらから幼馴染みの女の子ケイリーの人生を狂わせてしまいます。大人になってタイムスリップという特異な能力を獲得したエヴァンは、何とか時を遡ってケイリーの人生を取り戻そうとするのですが、戻る度に周りの環境は微妙にずれていってしまい、エヴァンをめぐる人々の人生も変わってしまうのです。何処かが良くなれば何処かが悪くなる、そんな悲劇を繰り返した揚げ句、彼はケイリーへの愛情ゆえに辛い決断を下します。実はこの映画、エンディングが複数有ってDVDには収録されていますが、個人的には一番苦い終わり方が良いなと思うのです。

パンズ・ラビリンスPan’s Labyrinth(日本公開2007年)

スペイン映画を何か一本入れようと思って何が良いだろうと考えたのですが、純粋なスペイン映画とは言えないこの映画がどうしても残りました。ギレルモ・デル・トロ監督は私が大好きな監督の一人で、最近では我が国の怪獣特撮映画に限りない愛情を注いでいる「パシフィック・リム」を作って円谷英二や本多猪四郎へのオマージュを捧げてました。

フランコ政権下の内戦状態に有ったスペイン、あのピカソの傑作「ゲルニカ」が描かれた暗い時代。スペイン内戦で父親を亡くした少女オフェリアは、妊娠中の母親と共に、母親の再婚相手であるフランコ軍の将校ヴィダルに引き取られ、森の中にある軍の砦に移り住みます。レジスタンス掃討を指揮する異常なまでに潔癖で冷酷なヴィダルは、オフェリアの母親に男子を産むよう強要し、連れ子であるオフェリアを虐待します。ある夜、オフェリアは妖精に森の奥へ導かれ、パンの迷宮に入り込みます。森の妖精パンに「ここが地底の美しい王国の入り口であり、貴女はその姫君である」と告げられた彼女は、それを確かめるためにパンから与えられた3つの試練を果たして行きます。継父に苛められる過酷な現実世界と、異様な美しさと不条理に満ちた異世界を行き来しながら試練をこなして行く健気な少女は、最後に幸せを得たのでしょうか。私はこの何とも切なく悲しげな映画のラストを、敢えて希望に満ちた情景と取りたいです。

我等の仲間La belle equipe(日本公開1937年)

フランス映画からも1本これは外せない、となればジャン・ルノワール監督の作品。印象派絵画の巨匠ピエール・オーギュスト・ルノワールの息子さんですね。例えばあの傑作「大いなる幻影」のエリッヒ・フォン・シュトロハイム、大戦で背骨を傷め屈めない軍人という役柄での、背筋をピンと伸ばして酒を呷る酒の飲み方は忘れられない名シーンだったり、ジャン=ピエール・メルヴィルのフレンチ・ノワール、仏人女優マリオン・コティヤールにアカデミー主演女優賞をもたらしたエディット・ピアフの伝記映画や話題になった「最強のふたり」のような現代の秀作も有りますが、私はこの作品を選びます。ジュリアン・デュヴィヴィエ監督、ジャン・ギャバン主演。宝くじで大金を当てた5人組が共同で夢のレストランを開くのだけれど、お互いに争いが起きて仲間は崩壊して行く。古い、そして苦い映画ですが扱っているテーマが現代にも通じるので一向に古びない、こういう作品をエヴァーグリーンと呼ぶのでしょう。
あぁ、こんな与太話を書いていたらまた長くなってしまった。次回へ続く、、かな?