Blog黒田院長のブログ

2021.08.22

021 コロナ鬱

 今日聴いていた音楽
Unamas Piazzolla Septet ‘ A. Piazzolla by Strings and Oboe’ 他

 精神科医の和田秀樹さんなどが警鐘を鳴らしているとおり、私の様な一般診療科にも鬱症状を疑う来診者は特に今年に入って増えていると感じる。際立って多いのはコロナ感染の不安、ワクチン副反応の不安、コロナ不況で仕事を失う不安などなど。あくまでも精神科医では無い私としては、自分の手に負える範囲で安定剤や入眠剤の処方をしたり、症状の程度次第では精神科受診を勧めるしか無いのだが、短時間の診療時間内で出来るアドバイスが有るとすれば「テレビのワイドショーなんか見るのおやめなさい」に尽きる。

朝から晩までコロナの危険を訴えて、やれワクチン接種後の死亡例が、インド並みの死亡率が、医療崩壊がどうの、私も日頃殆どテレビは見ないから伝聞にしか過ぎないがおよそ視聴者の不安を煽る論調のオンパレード、そりゃ家から出ないで一日中そんなの見てたらおかしくなるだろう。議論の抜粋ならネットで事足りるし、それこそ
YouTubeで猫の動画でも見ていた方が余程憂さが晴れるのではないか。

 ここぞとばかりに政府の医療施策を非難する論調も多い様だが安易に同調する気にはなれない。潤沢な医療体制を維持するのは平和時に軍隊を抱えるのと似ていて、需要が無い時には金食い虫でしか無い。各診療科を網羅した無休の救急診療なんてそれこそ病院の赤字部門である。コロナ感染拡大から2年も経って何をしていたのだと言われるが、保険診療でガチガチに枠を嵌められた病院にこれ以上を求めるのは酷な話だし、そもそも人工呼吸器もECMOも、それを扱える医療スタッフの養成もそれほど早く出来るものでは無い。コロナを巡る社会不安の中で混合診療の解禁に舵を取ろうとする向きも有る様だし、コロナ感染症を現在の2類から5類に引き下げようという議論もなされていて是非はともかく個人的には今後の情勢に注目している。ああそう、最近じゃ酸素ステーション設置なんてニュースも有ったな。酸素吸入が必要な状態の患者130人を医師1人と看護師十数人で24時間体制で看るんだそうな。無いよりマシ、と思わないでもないが、機能するのかねそんな中途半端な施設? あれ、私も気付けば政策批判してるのかな。

 先日受診された患者さんから「先生はコロナワクチン接種に賛成ですか、反対ですか?」と聞かれた。口調からしてその方はワクチン反対の立場だったようだ。ワクチン接種後に不妊やDNAの改変であらゆる癌が急増するとか5年後に世界中で何十億人単位でバタバタと突然死するとか、ましてチップを埋め込んで国民を支配するなんてトンデモ説とか、もう少し時間が経たないと検証不能な部分も有るので結論は先送りにするとして、「現時点で利用出来る対策のうち、感染予防に或る程度の効果が有って重症化を高い確率で防ぐ為に有効な手段がワクチン接種しか無いと十分な根拠を持って判断出来るので私は推奨します」と答えた。自分は若くて重症化しない、副反応が心配だから打たない、その様な判断をされる方やそもそもワクチンが合わなくて打てない方の自由は尊重すべきと思うが、今後幾つかの国や地域に倣って接種証明書の提出を求められる機会が増えたり行動に制限が加えられる可能性には個々人として留意する必要が有るだろう。

 これから更なる変異株が出て状況が変わる事も当然あり得るし、事態が良くなる事も悪くなる事も有るだろう。確かに医療体制は何処も大変では有るが一部のヒステリックな輩が言うほど揺らいではいないし、我々の様な末端で働く者から見上げても状況を考えれば信じられない程の忍耐力と献身で対応されている。流言蜚語に惑わされず、極端な意見には必ず対比的な意見も参考にしながら冷静に、かつ、選択肢が一つしか無い等と思いつめない様にね。今回は自制もこめて。