Blog黒田院長のブログ

2021.07.18

020 コロナワクチン

ホームページ上でも告知しているが、当座のワクチン供給不足に伴い、当院でも8月以降のワクチン個別接種予約を受けられない状態が続いている。予約を受けられない状況で電話を受ける事務スタッフの負担も大きい。頼むよ、予約できないからって電話で暴言を吐くのはやめてくれ。こっちだって懸命にやってんだ。

コロナの蔓延が本格的に始まった昨年春以降、おそらく我々末端の臨床に携わる医療関係者全てがずっと、「頼むから我々に戦う武器をくれ」と願っていたと思う。感染防御対策がある程度整い、簡便に短時間でコロナ感染を診断できるキットが開発され、アビガンやイベルメクチンが奏功したと聞いていても、安全性や耐性ウィルスの出現などのリスクからまだまだ治療薬を我々が実際に処方できるには至っていない。

今回の私は炎上や激しい非難を覚悟で書くが、もっとワクチンが潤沢にあるのならいざ知らず、こんなに60歳以下の接種が全国的に遅れるのなら、殆ど家から出られない様な、寝たきりに近い高齢者のワクチン接種を優先したワクチン政策は間違いだったと思う。確かに高齢者がコロナに感染したら死に直結することは間違いないが、それならその高齢者家庭にコロナウィルスを持ち込む危険性が有る壮年者、日々社会に出て懸命に働き相対的にコロナ感染のリスクも高まる人々へのワクチン接種を優先すべきだったのではないかと。そこにどのような政治的配慮が働いたのかわからないが、私個人的にはそう思う。

もう一つ、これは現状に対して医師として書かねばならないと思うから書く。

現在集団接種、個別接種で使っているファイザー製のワクチンは、1バイアル6人分が基本だが、微妙な量のばらつきがあり、バイアルによっては7人分取れる。当院の看護師が発見したのだから、おそらく集団接種の場でも多発しているんではないかと思う。余りの分とは言っても勿論ワクチンの効果としては何の不足もないはずで、これほど壮年者に打つワクチンが足りず、不安にかられながら待っている人が多いのなら7人目に打ちたいと思うのが医療側の人情である。

しかし、行政に問い合わせてもこれは駄目なのだ。確かに2バイアルからニコイチで1人分取るとなると、それは流石にロット違いなどの微妙な問題が生じてくると思うが、もし1バイアルから7人めに打ったとしても、その人は正規の接種ではないので接種証明書がもらえない。行政に問い合わせても破棄してくださいと言う返事が返ってくる。なぜなのだ。なぜ貴重なワクチンを7人目に打ってはいけない? お役所が決められた枠内でしか仕事を進められないのは理解するが、ワクチンが足りていない現場では喫緊の問題なので、行政側のトップダウンでもっと柔軟に対応してくれることを切にお願いしたい。