Blog黒田院長のブログ

2021.03.19

015 超絶技巧

今日聴いていた音楽 郷ひろみ「哀愁のカサブランカ」
Master Sound盤レコード 他

 酒を飲みに外出する事も、まして温泉に浸かりに行ったりするのも憚られる中で、私はと言えば、一生懸命番組を作っているだろう方々には正直申し訳無いが、五月蝿いばかりのテレビ番組は見るのも聴くのも嫌になっていて、じゃあ何を見るのだと言えばこのところ専らYouTubeだ。
 自分では虫も嫌いだし暑いのも寒いのも嫌なので絶対無理だと思っているのだが、他所様のキャンプ動画など、野外料理を作ったり焚き火をしたりで見ていて飽きない。ただ、素朴な疑問だがブッシュクラフトとかやっている人はお手洗い、小はともかく大はどうしているのだろう。やはりそのお、自然に任せるのであろうか。
 自分の何処か深いところに共鳴するのか、職人さんや技師さんの凄い技を見せる動画も楽しみだ。レゴやら何やらで複雑なピタゴラスイッチ風メカニズムをこさえている動画など見ると、どうやったらこんな事を考えられるのだろうと思いつつ見惚れてしまう。
 汲めども尽きぬYouTubeの動画を渉猟し、最近見つけて嵌まりまくっているのがPablo Cimadevilaというスペインのジュエリーデザイナーの動画で、今の今まで私が知らなかっただけだが再生回数は世界中で5000万回とか凄い事になっている。彼の動画の何が素晴しいといって、美しい4K画像、シーンに合った魅力的な音楽、動画の編集タイミング、技を見せるカメラアングル、更にそれら全てを軽々と上回る超絶的な技巧。最早何をどうやっているのか皆目検討がつかないのに、そこらじゅう幾らでも転がっているありふれたボルトやナットを材料にして出来上がったジュエリーは、もう別世界の魂が篭っているとしか見えない。これは私が千万言を費やすよりあの動画をご自分で体験してもらうしか無いのではないか。あなたにも、チェルシー、あげたい。
 彼には車椅子というハンディキャップが有るのだが、とてつもないくらいの集中力でそれを乗り越えている。彼は一切喋らない。恐らく自分の動画にくどい言葉の解説など要らないと思われているし、実際全て画面上に活写されているので言葉は一切必要無い。聞こえるのは金属を削る音や木を切る音や、水や風の音と絶妙なタイミングで挿入される音楽しか無いのだが、見ているこちらの息が止まるような、俄には信じられないような細かい技巧を凝らした最後に彼がフッと笑みを浮かべる、その蒼い瞳にやられてしまうのだ。ちょっと麻薬的なトリップ感覚を味わうとしたら、この上なく安全でかつ間違いなく元気をくれるだろう。東京とスペイン、距離も業種も何もかも違うかもしれぬが、敬意の念は些かも揺るがない、類い稀な体験。