Blog黒田院長のブログ

2021.01.21

010 鬼滅の刃

今日聴いた音楽 八木隆幸トリオ Congo Blue など

相変わらずコロナがふざけた猛威をふるっている忌々しい世情、自宅で蟄居を余儀なくされる日々で昔集めたブルーレイの映像やレコードを観て、聴いて無聊を慰める毎日が続く。
こういう状況だからこそ敢えてコロナ予防に役立たない暢気な事を言うが、私もそれなりに歳ふり、若者相手の酒席の座興に好きな女優は?などと問わらばイングリッド・バーグマンやキム・ノヴァクの名を挙げて怪訝な顔をされるのが快感だったりする些か性根のねじ曲がった中高年になってしまった。へへっ。君たち知らねーだろ。滅茶苦茶綺麗な女優さんだったんだぞ?

とは言え今出来の文化にも触れたいから家人が買ってくれた「鬼滅の刃」全巻揃いを一気読みしていたりするわけで、流石に凄い人気だけのことはあるなと。このままの流れで映画版など見に行った日には、エンディングでLisaさんの歌う「炎」が流れた瞬間に劇場でいい歳したオジサンが嗚咽を堪え切れない醜態を晒すのは必定であるからブルーレイ・ディスクが出るまで待とうと思っている。だってさ、最後まで映画観て、あの曲聴いたら泣くだろ、普通。
そんなワケで、どんなワケだか分からんが、ここしばらくは家に引き篭もり、ひたすらネットのオークションでレコードを落札している。先日は六代目三遊亭圓生の古典落語選集が届いた。三十枚組のレコードで送料も含めて五千円強、レコード一枚分が二百円にも満たないワケで、安く買えたのは嬉しいがもうこんな分野には需要が無いのだろうかとちょいと暗い気分にもなる。
市井の町人もお侍も花魁も遣り手婆も果ては幽霊までも、どんな人物像も活写してみせた圓生師匠。雪景色と花魁の描写が最高に美しい「松葉屋瀬川(雪の瀬川)や、遊びが過ぎて没落した旦那が人生を取り戻す「ちきり伊勢屋」が入っていないのは残念だが別の音源で工面するとして、「子別れ」全編に「鰍沢」「文七元結」などなど、綺羅星の如き至極の演目が並んでいる。数多の名演揃いでも群を抜いて好きなのは「一人酒盛」という、渋いとしか表現しようの無い噺。貧乏長屋の住人が貰い酒を餌に友人を釣って部屋の片付けを全部させた挙句、一緒に飲もうと誤魔化しながら手前一人で全部飲んでしまう、ただそれだけの噺なんだが、笑わせる所が少ない上、徐々に酔っ払って行く描写が難しいのでとてもじゃないが余程の名人上手で無ければ恐らく聞いていられない。もうね、ネタバレになるから書けないが、落ちが最高なのだ。私は圓生師匠の高座、年頃が合わず生では見られなかった。一度で良いから見たかったなぁ。