Blog黒田院長のブログ
2019.11.09
- 003 痔
今日聴いていた音楽
Chet Baker Quartet
featuring
Russ Freeman 他ホームページをリニューアルしてよしなし事を書き連ねていたら、「読んでますよ」と言って下さる患者さんがチラホラ出始めた。こんな吹けば飛ぶよなクリニックの院長の戯れ言に付き合って頂いて誠に有り難い限りだ。改めてお礼を申し述べたいです。
というわけで今日のお題は「痔」、である。
「癌」という字面だけで禍々しさを植え付けられるのと同じく、これまた情け容赦の無い一文字である。以前何かのアンケートで、若い女性が医者にかかるのを躊躇する病気の筆頭がこの「痔」だった。「抱かれたくない芸能人ランキング」みたいなものか。
そもそも我々は有史以前、人間が直立歩行するようになってから必然的につきまとってきた宿痾たるこの病気に愛情を持っていない。ヒサヤ大黒堂の人は絶対に「ぢ」だと譲らないだろうけれど、「ぢ」か「じ」か、一体どっちが本当なのかすら良く分からない。
もう随分前の話になる。時効だろうからお許し願いたいが、仕事が終わって仲間内で酒を飲んでいた時に先輩の疣痔が急に痛みだした。とても酒を飲み続けていられないというので病院に取って返し、痛み止めの座薬を大慌てで尻から挿入したのだ。私としては先輩の身体を心配して頗る真面目だった積もりなのだが、当の先輩に言わせると尻の穴に座薬を入れる時にも酔っ払った私がゲラゲラ笑って尻の周りを何度も座薬のとがった部分でつついていたらしい。今でも酒を飲むと必ずその時の恨みつらみをぶつけられるから余程惨めでひどい体験だったのに違いない。確かに先輩の立場になってみりゃ無理も無い、そりゃどうも失礼を致しました。
さてこの「痔」の治療だが、そもそも我々の身体は直腸の粘膜と肛門の皮膚では組織が違う。直腸の粘膜と肛門の皮膚が切り替わる部分は両者が入り組んだ形になっていて歯状線と呼ばれるが、歯状線の内側に出来る痔を内痔核、外側に出来るものを外痔核と呼び、大ざっぱに言って肛門の内と外では方法も異なる。近年では内視鏡による治療が随分進歩して、余程ひどい病状で無ければ入院しなくて済むケースも増えてきた。手術を受けた患者さんの訴えを聞いている限りでも、昔に比べて随分痛みも少ないのじゃなかろうか。
ってな訳で、何も痔主だからって恥ずかしがる事は無い、トイレに行くたび心配な思いをするくらいならどんどん相談しましょうよ。